着工式を行いました
2024年4月25日
高梁市中之町にある東氏庭園にて、プロジェクトの着工式を執り行いました
Team roanメンバー、協力いただく造園工、岡山県立大学福濱研究室、高梁市役所職員にもおいでいただき、プロジェクトの最初の一歩となる開幕の式典となりました。雨続きの4月末にも関わらず、着工式当日は雲ひとつ無い晴天の下、庭園・茶室復元工事およびプロジェクトの成功を祈願することができました。
はじめに、庭園のオーナーであり施主の東良平氏 (Team roan 代表)と作庭家の重森千靑氏 (Team roan 監督・監修)から、Team roanを代表して挨拶を行いました。
東良平氏 (Team roan 代表) より挨拶
今週はずっと雨模様だったため不安がありましたが、良い天候に恵まれ、この庭も茶室も祝福を受けているように思います。今日は重森千靑さん、紀人さんにもご多忙の中お越し頂き、着工式を迎えられたことを嬉しく思います。
みなさんご存知のように、ご覧のように(庭は)草も生えてきて荒れておりますが、なんとか当時のように美しい枯山水の庭を取り戻したいという思いがあります。その思いに火をつけてくれたのが、ここにいらっしゃいますプロデューサーである稲谷順一さんです。本当に様々な官学民の皆様に支援をいただいて、この日に漕ぎ着けたというところです。
ご覧のように、ここは中之町という古い町筋の中にありますが、高梁(市)の観光名所に囲まれたシチュエーションにあり、その中心にこの庭園があると認識しています。
私は幼少の頃に、この美しい庭園で過ごした思い出が残っています。この庭を復元して綺麗にする目的は、私個人のためにするというのではもちろんありません。高梁市は各地から観光に来られる方が多いので、当時の綺麗な姿を蘇らせて、市民の皆様だけでなく、たくさんの人に是非ご覧頂ければと思っています。観光の町としての高梁市において、新たな魅力の一つとして手助けになればと思います。いよいよ着工したということで、これからも魅力を色々と発信していきたいと思っておりますので、本日ご参列頂きました皆様にもお手伝いいただけたらと思っております。
予定では工事が一年と少しかかるということで、皆様のご協力のもと、ゆっくりじっくり復元工事を進めながら、安全に仕上がっていくことを私もわくわくしながら心待ちにしていきたいというふうに思っています。
これを以て、私のご挨拶とさせていただきます。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
(一部抜粋)
重森千靑氏 (Team roan 監督・監修) より挨拶
東さんのところは、岡山県在住の方と別件で一連の三玲研究のあとに、たまたま高梁(市)に、本当に引き寄せられるような感じで来たのが初めてでした。当時も現状の様な、少し荒れている状況でした。その後、なかなかここ(東氏庭園)に訪れる機会はありませんでした。それがまた不思議なことに、今回Team roanのプロデュースをされている稲谷さんと、私が岡山在住の造園家で親しくしている武村さんとの繋がりによって、またグッと引き寄せられたという経緯があります。そこから、なんとかしたいと強く思っていたのですが、それが本当に、今日のような形で実現することができたことは、何よりだと思っています。
三玲の作品というのは、基本的にこのような(荒れた)状況になっても、比較的すぐに戻せるように図面や資料もきっちりと残しており、地割りも非常に明瞭な形で作ってあります。そういう意味では、地割りさえちゃんと残せば、比較的いい形で戻せることは、今の現状を見ていてもよくわかります。三玲の作品をここで復活できるというのは、非常に嬉しいです。
昭和20年代の後半から昭和30年代というのは三玲の作品において、戦前からの作品の繋がりの中で、独特な作品作りをしています。路地を中心としながら石組みもするという作風は、近世の茶人のなかで同様の作風がいくつも見られます。そのようなところをヒントにしながら、やはり彼独自の世界観を示しているのです。さらに、三玲の作った作品の路地の中で、ここまで枯山水をきっちりと出して、作り上げた路地というのは、ここ以外には無いと思います。ですから、そういう意味では非常に貴重な作品であり、それが今回皆様方のお手伝いによって復元できるというのは何よりだと感じ、非常に嬉しく思っています。
これから始まる復元工事について、安全面には十分に気をつけて頂きたいと思います。どんないい仕事で終わったとしても、怪我をしては悔いが残りますのでその点だけは十分注意して頂きますようお願い申し上げます。このまま引き続きまたお世話になりますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
(一部抜粋)
復元前のお清めの儀
続いて、復元前のお清めの儀を行いました。今後の作業の安全を祈願し、撤去される物、植物、改変される場所に敬意を払うための清め作業です。岡山県立大学福濱嘉宏教授と建築士の田井 宣俊氏により、敷地の四隅に酒と塩を撒いてお清めを行いました。
一同で黙祷を捧げた後、東氏夫妻により鎌入れを行い、式典を終えました。
また、式典後に早速、造園工事担当による実施作業第一弾として「既存板塀撤去作業」が行われました。