驢庵について その2 -報告書部-

重森三玲は、枯山水庭園に植栽を多く用いることは好ましくないと考えています。

枯山水自体が抽象化された自然景観であるため、

その場に植栽というリアルを持ち込むと抽象性がなくなってしまうそうです。

ただ、大刈込に限っては、それ自体が抽象化された植栽であるため枯山水に用いられても問題なく、むしろ好ましいとしています。

驢庵庭園から徒歩5分の場所にある

頼久寺庭園(桃山時代)は、蓬莱山水としての鶴亀庭園で、

蓬莱の海を大刈込によって表現しています。

この頼久寺庭園について三玲は、

「枯山水として群を抜いた傑作として賞賛することができます」

(『現代和風庭園 庭に生きる』1969 p.238)

と評価しています。